歌曲名:オリジナルドラマ「忘れじの一刀」 歌手:櫻井孝宏 所属专辑:《鬼滅の刃 オリジナルドラマ/梶浦由記サウンドトラック》
作词:未知 作曲:未知 发行公司:未知 发行时间:2023-12-30
语言: 大小:22.3 MB 时长:24:22秒 比特率:129K 评分:0.0分
介绍:《オリジナルドラマ「忘れじの一刀」》 是 櫻井孝宏 演唱的歌曲,时长24分22秒,由未知作词,未知作曲,该歌曲收录在櫻井孝宏2023年的专辑《鬼滅の刃 オリジナルドラマ/梶浦由記サウンドトラック》之中,如果您觉得好的话,就把这首歌分享给您的朋友共同查看歌词,一起支持歌手櫻井孝宏吧!
オリジナルドラマ「忘れじの一刀」文本歌词
禰豆子は、禰豆子は違うんだ
人を食ったりしない
昔同じようなことを言って鬼に食われたやつがいた
そう、あれは俺がまだ鬼殺隊に入隊したての頃だ
鬼滅の刃 忘れじの一刀
鎹(かすがい)ガラスの伝令を受けて
俺は西の港町へ赴いた
触手喰りゃあー
無駄だ
全部打ち崩しやがって
待って
俺は鬼を、港に追い詰めた
どうする、後ろは荒れた海だ、もう逃げられないぞ
鬼狩りめがぁ
やつの体から縦横無尽に飛んでくる触手は厄介だが
懐に飛びこんでしまえば
なに、後ろに飛んだ?
ちっ、砂辺に泊めてある船に飛び移るとは
船で逃げる気か
逃しはしない
ったく、しつこい野郎だな
激しい揺れに足を取られてしまう
なんだこの音
高波?!
凄まじい波の直撃により船が転覆
俺は暗い海へと放り出された
どこだ、鬼はどこだ?
波に飲み込まれて沈んだ俺は
そのまま意識を失った
目覚めると俺はどこかの浜辺に打ち上げられていた
ここはどこだ、俺はどうして
船が転覆し、海に投げ出され
鬼!
鬼はどうなった、海の藻屑と消えたのか
それとも
けたたましくなる半鐘
松林の向こうに、集落があるようだ
火事か
松林を抜けると村があった
村のどこからも火の手が上がっていないが
村の男達が血相を変えて走っていく姿が見えた
向かっている先が裏山か
山で何かがあった
俺はそう直感した
村人達の跡を追って裏山を登ってみると
すぐの寺の境内に人中にできていた
ひでー、ひどすぎる
なんで和尚さんたちが
おい見ろよ和尚さんの腕が肩からなくなってるぞ
あっちの若いお坊さん、頭が半分ねえ
もう一人は腸が&%$*#だ(知るか)
本堂近くに、和尚と二人の若い修行僧の見るも無残な死体が転がっていた
駐在は検証を行っている
人間じゃねえ
こんなひでーマネができるのは人間じゃねえよ
確かにこりゃ人の仕業じゃねえな
獣に食われたんだ
駐在さん、獣って
骨まで噛み砕かれてるところを見るとおそらく熊だな
熊の仕業だろ
ああそうだ、駐在さんの言う通りだ
あんな噛み傷、熊しか考えられねえ
人食い熊が出たんだ
違う、あの喰らい方は、熊の仕業ではない
鬼だ、鬼に食われたんだ
とすれば、あの鬼も昨夜のうちにここへ流れ着き
そして、和尚たちを襲った
ごめん、ちょっとどいてくれ、駐在さん
人垣を掻き分け、一人の少年が駐在に駆け寄っていった
俺よりも二三歳は年下のように見える
山に人食い熊がいるって言うんなら、一刻も早く弟を見つけないと
それなんだがな晴夫、捜索は中止だ
中止?今日もみんなで探してくれるって約束だろう
状況が変わったんだ
人食い熊が出没するような山に人は入れられない
そんな、じゃ弟はどうするんだよ
それでもあんた駐在かよ
とにかく捜索は中止だ
雅さん、雅さんは一緒に探してくれるよな
晴夫、ここは駐在さんの言うことを聞いたほうがいい
留さん
悪いな、俺にも家族がいるからよ
康さん
諦めろ晴夫、今日で三日目だ
弟はすでに食われてるかもしれない
そんなことあるか
弟はどこかで生きている、絶対に生きている
俺の助けを待ってるに違いないんだ
晴夫
もういい、あんたらになんて頼まねえ
退けよ
山に入るなよ、晴夫、いいな
みんなも聞いた通りだ、暫くの間、山へは立入禁止だ
寺の境内を飛び出した少年を目で追うと
村へ戻る道には降りず、逆に山道を上がっていた
先程の様子からして、一人で弟を探しに行ったに違いない
全く、この山のどこかにあの鬼が隠れている以上
晴夫という少年をこのまま放っておく訳にはいかない
ゆう、ゆう、どこだ、ゆう
兄ちゃんだぞ、いたら返事してくれ、ゆう
ゆう、ゆう
どこなんだよゆう
あれ、洞穴か
やっぱり洞穴だ、こんなとこにもあったんだ、ゆう
入るな
誰、あんた
むやみに中に入るな
鬼は日光に弱い、日が刺す間隠れているとすればこういう場所だ
鬼?
下がってろ、ここで動くなよ
洞穴の中はそう深くなく、すぐに行き止まりになっている
鬼の姿はなかった
なあ、中に七歳ぐらいの男の子がいないか
誰もいない
あんた、見慣れない顔だな
もう気が済んだろ、いいからすぐ山を降りるんだ
村に帰れと言ってる
帰る訳ないだろ、俺は弟を探すんだ
山からでなければ、お前も和尚たちのように熊に食われるぞ
人食い熊なんて怖いもんか
俺は山でいなくなった弟を探してるんだ
弟が見つかるまで絶対に山を降りねえ
俺を見つめる力強い眼差し
彼の決意は硬いようだ
めんどうなやつだ
どこへ行くんだよ
探すんだろ、弟を
俺と一緒に探してくれるのか
で、どこを探す気だ
昨日、駐在さんと村のみんなで東の方を探して回ったから
なるほど、だから西の方にやってきたというわけか
ありがとう
お前も食われたら寝覚めが悪い
だが忠告しておく
さっきのような洞穴を見つけても勝手に一人で入るな
まず俺に知らせろ、いいな
うん、分かった
ゆう、どこだ、兄ちゃんだぞ、ゆう
どうした
あそこ、茂みに落ちてるあれ
ゆうが着ていた羽織だ
間違いねえ、ゆうの羽織だ
いたんだよゆうがここに、まだ近くにいるかもしれない
ゆう、いるのか
待って晴夫、茂みの中は俺が当たる、お前は弟に呼び掛け続けろ
ゆう、兄ちゃんがきたからもう心配ないぞ
ゆう、いたら返事してくれ、ゆう、ゆう、どこだ、ゆう
それから俺達は、日が暮れるまで、森の中を探し回った
だが結局、弟は見つからなかった
見つかる期待が大きかった分、落胆もまた大きい
晴夫は弟の羽織を抱きしめたまま、うずくまってしまった
ゆう、どこへ行っちまったんだよ、ゆう
俺を一人ぼっちにするんなよ、ゆう
人前で涙を見せるな
父ちゃんも母ちゃんも早くに死んじまって、たった二人だけの家族なんだ
二人で生きてきたんだ、俺はゆうがいてくれたから頑張って来れたんだ
弟はお前にとっての生きる証か
あ、ゆうは母ちゃんに似てとても優しい子で
俺が漁に出ている間、漁師仲間の女将さんたちと一緒におにぎりを作って待っててくれるんだ
それに、父ちゃんに似て賢いんだぜ
漁網を繕うのだって、魚をさばくのだって、俺がちょっと教えただけですぐに覚えちゃうんだ
賢いか、晴夫、もし山で何かしらの災難に会ったとしたら、お前ならどうする
どうって分かんねよ
賢い子なら助けが来るまで飲水の確保くらい考えるだろう
水なら向こう、この森を抜けた先に谷川がある
よし、行ってみよ
辺りはもう完全に黒に染まり
月明かりが川を照らしている
ゆう、ゆう、あそこに洞穴が
岩の斜面に、人が充分に入れる大きさの横穴があった
忠告を忘れたか
勝手に入ろうとしてごめん、中を調べるのか
あ、先に俺が入る
洞穴に入って何歩進んだのだろ
その時
血生臭い匂いが俺の鼻をついた
どう、ゆうは居そうか
人の気配はないが
熊がいるのか
熊ではない
熊じゃない、じゃ一体中に何がいるんだよ
おそらく鬼だ
鬼だって?
鬼はいる、巧妙に身を隠し、そしてなんの躊躇いもなく人を食う、あの和尚たちのようにな
そんな鬼どもを狩るのが俺の役目だ
まさか鬼なんて
いいか、そこを動くなよ
洞穴を一歩、また一歩と進めていくことに、血生臭さも増していく
すると、奥の暗闇に不気味に光るものが二つ見えた
目だ
晴夫、すぐここから離れろ
離れるんだ
うん
鬼狩り、いいもん手土産に持って来てくれたじゃねえかよ
俺はよ、ガキが大好物なんだ、やっぱりよガキがうめえよな
肉は柔らかくてみずみずしいし、血は本当に甘いし、一度食べたらやめられねえぜ
貴様
人を食らって力が増したな
下がれ、晴夫!
ゆうだ!ゆうがいた!
なに!
間違いない、ゆうだよ、ゆうが今森の中に入っていたんだ
ゆう、兄ちゃんだ!
晴夫、行くな、俺のそばから離れるな
ゆう!
晴夫!
俺が鬼から目を離した、その一瞬の隙をつかれ
余所見てはまずいよな、鬼狩りさんよ
不覚にも足をやられたか
太腿から血が滴ってるぜ、痛えか
鬼狩り、おめえを始末したら、ゆっくり味わってやるぜ、あのガキをよ
骨の髄までしゃぶり尽くしてやる
= 全集中·水の呼吸 =
飛んでくる触手を切れ落としながら、やつとの距離を縮める
くたばりやがれ、鬼狩りめが!
来た
三の型、流々舞!
なんで、そんな様子で動けるんだよ
壱の型、水面斬り
晴夫、晴夫
晴夫、どこだ、どこにいる、晴夫、晴夫
何か言いようのない嫌な予感が俺を動かしていた
晴夫
ここだよ
茂みの向こう、岩場の上から晴夫の声がした
あんなところに
晴夫
やっぱり弟だったよ、弟がいたんだ、ゆうが見つかったんだ
ほら、ゆうだよ
晴夫がゆうと呼ぶ男の子に寄り添っている
だが月明かりに照らし出されたその子の顔は
晴夫、そいつから離れろ
何言ってんだよ、ずっと探してた俺の弟なんだ、ゆうなんだ
晴夫、そいつの顔をよく見ろ、それがお前の弟の顔か
怪しく光るその目、口から見える牙
そいつはもはやお前の弟ではない、鬼だ
バカ言うな、弟だ、俺が言うんだ間違いねえ
ゆう、兄ちゃんだ、分かるだろ
晴夫、そいつは鬼だ
鬼だろうと何だろうと構わねえ
俺は、俺は弟を助けるんだ
晴夫、諦めろ、弟はもう人間には戻らない
そこで待ってろ、俺が今行く
弟を切る気か、来るな
親であろうと兄弟であろうと容赦なく食らう、それが鬼だ
そばにいたら、お前も食われる
ゆうはそんなことしない、話したろう、ゆうはとても優しい子なんだ
晴夫、そこを退け
いやだ
晴夫!
俺にとってゆうはたった一人の弟なんだ、家族なんだ
なぁ、頼むよ、ゆうを見逃してくれよ、お願いだ
晴夫、それはできない
ゆうは違う、俺を食ったりしない、人を食ったりしない
兄ちゃん
ゆう、分かるか、俺だ、兄ちゃんだ
晴夫
兄ちゃん
そうだよゆう、ほら、ゆうだよ、鬼なんかじゃない
晴夫、離れろ
なぁ、兄ちゃんと一緒に家に帰ろう
また兄ちゃんにおにぎり握ってくれよ、ゆう
晴夫!
分かっているのか、お前が今食らったのは兄なんだぞ
壱の型、水面斬り
しっかりしろ、晴夫
ゆう、ゆうは?
安心しろ、俺が助けた
ありがとう
ゆう
晴夫
飢餓状態になっている鬼は親でも兄弟でも殺して食べる
栄養価が高いからだ
今までそういう場面も山程見てきた
この娘は怪我を負わされており
それを治すために力を消費している
鬼に変わる時もかなり体力を消費するはずだから
間違いなく今は重度の飢餓状態
一刻も早く人の血肉を喰らいたかっただろうに
守る動作、俺に対する威嚇
こいつらは何か違うのかもしれない
起きたか
狭霧山の麓に住んでいる鱗滝左近次という老人を訪ねろ
冨岡義勇に言われてきたと言え
終わり
编辑于2023/12/30更新
人を食ったりしない
昔同じようなことを言って鬼に食われたやつがいた
そう、あれは俺がまだ鬼殺隊に入隊したての頃だ
鬼滅の刃 忘れじの一刀
鎹(かすがい)ガラスの伝令を受けて
俺は西の港町へ赴いた
触手喰りゃあー
無駄だ
全部打ち崩しやがって
待って
俺は鬼を、港に追い詰めた
どうする、後ろは荒れた海だ、もう逃げられないぞ
鬼狩りめがぁ
やつの体から縦横無尽に飛んでくる触手は厄介だが
懐に飛びこんでしまえば
なに、後ろに飛んだ?
ちっ、砂辺に泊めてある船に飛び移るとは
船で逃げる気か
逃しはしない
ったく、しつこい野郎だな
激しい揺れに足を取られてしまう
なんだこの音
高波?!
凄まじい波の直撃により船が転覆
俺は暗い海へと放り出された
どこだ、鬼はどこだ?
波に飲み込まれて沈んだ俺は
そのまま意識を失った
目覚めると俺はどこかの浜辺に打ち上げられていた
ここはどこだ、俺はどうして
船が転覆し、海に投げ出され
鬼!
鬼はどうなった、海の藻屑と消えたのか
それとも
けたたましくなる半鐘
松林の向こうに、集落があるようだ
火事か
松林を抜けると村があった
村のどこからも火の手が上がっていないが
村の男達が血相を変えて走っていく姿が見えた
向かっている先が裏山か
山で何かがあった
俺はそう直感した
村人達の跡を追って裏山を登ってみると
すぐの寺の境内に人中にできていた
ひでー、ひどすぎる
なんで和尚さんたちが
おい見ろよ和尚さんの腕が肩からなくなってるぞ
あっちの若いお坊さん、頭が半分ねえ
もう一人は腸が&%$*#だ(知るか)
本堂近くに、和尚と二人の若い修行僧の見るも無残な死体が転がっていた
駐在は検証を行っている
人間じゃねえ
こんなひでーマネができるのは人間じゃねえよ
確かにこりゃ人の仕業じゃねえな
獣に食われたんだ
駐在さん、獣って
骨まで噛み砕かれてるところを見るとおそらく熊だな
熊の仕業だろ
ああそうだ、駐在さんの言う通りだ
あんな噛み傷、熊しか考えられねえ
人食い熊が出たんだ
違う、あの喰らい方は、熊の仕業ではない
鬼だ、鬼に食われたんだ
とすれば、あの鬼も昨夜のうちにここへ流れ着き
そして、和尚たちを襲った
ごめん、ちょっとどいてくれ、駐在さん
人垣を掻き分け、一人の少年が駐在に駆け寄っていった
俺よりも二三歳は年下のように見える
山に人食い熊がいるって言うんなら、一刻も早く弟を見つけないと
それなんだがな晴夫、捜索は中止だ
中止?今日もみんなで探してくれるって約束だろう
状況が変わったんだ
人食い熊が出没するような山に人は入れられない
そんな、じゃ弟はどうするんだよ
それでもあんた駐在かよ
とにかく捜索は中止だ
雅さん、雅さんは一緒に探してくれるよな
晴夫、ここは駐在さんの言うことを聞いたほうがいい
留さん
悪いな、俺にも家族がいるからよ
康さん
諦めろ晴夫、今日で三日目だ
弟はすでに食われてるかもしれない
そんなことあるか
弟はどこかで生きている、絶対に生きている
俺の助けを待ってるに違いないんだ
晴夫
もういい、あんたらになんて頼まねえ
退けよ
山に入るなよ、晴夫、いいな
みんなも聞いた通りだ、暫くの間、山へは立入禁止だ
寺の境内を飛び出した少年を目で追うと
村へ戻る道には降りず、逆に山道を上がっていた
先程の様子からして、一人で弟を探しに行ったに違いない
全く、この山のどこかにあの鬼が隠れている以上
晴夫という少年をこのまま放っておく訳にはいかない
ゆう、ゆう、どこだ、ゆう
兄ちゃんだぞ、いたら返事してくれ、ゆう
ゆう、ゆう
どこなんだよゆう
あれ、洞穴か
やっぱり洞穴だ、こんなとこにもあったんだ、ゆう
入るな
誰、あんた
むやみに中に入るな
鬼は日光に弱い、日が刺す間隠れているとすればこういう場所だ
鬼?
下がってろ、ここで動くなよ
洞穴の中はそう深くなく、すぐに行き止まりになっている
鬼の姿はなかった
なあ、中に七歳ぐらいの男の子がいないか
誰もいない
あんた、見慣れない顔だな
もう気が済んだろ、いいからすぐ山を降りるんだ
村に帰れと言ってる
帰る訳ないだろ、俺は弟を探すんだ
山からでなければ、お前も和尚たちのように熊に食われるぞ
人食い熊なんて怖いもんか
俺は山でいなくなった弟を探してるんだ
弟が見つかるまで絶対に山を降りねえ
俺を見つめる力強い眼差し
彼の決意は硬いようだ
めんどうなやつだ
どこへ行くんだよ
探すんだろ、弟を
俺と一緒に探してくれるのか
で、どこを探す気だ
昨日、駐在さんと村のみんなで東の方を探して回ったから
なるほど、だから西の方にやってきたというわけか
ありがとう
お前も食われたら寝覚めが悪い
だが忠告しておく
さっきのような洞穴を見つけても勝手に一人で入るな
まず俺に知らせろ、いいな
うん、分かった
ゆう、どこだ、兄ちゃんだぞ、ゆう
どうした
あそこ、茂みに落ちてるあれ
ゆうが着ていた羽織だ
間違いねえ、ゆうの羽織だ
いたんだよゆうがここに、まだ近くにいるかもしれない
ゆう、いるのか
待って晴夫、茂みの中は俺が当たる、お前は弟に呼び掛け続けろ
ゆう、兄ちゃんがきたからもう心配ないぞ
ゆう、いたら返事してくれ、ゆう、ゆう、どこだ、ゆう
それから俺達は、日が暮れるまで、森の中を探し回った
だが結局、弟は見つからなかった
見つかる期待が大きかった分、落胆もまた大きい
晴夫は弟の羽織を抱きしめたまま、うずくまってしまった
ゆう、どこへ行っちまったんだよ、ゆう
俺を一人ぼっちにするんなよ、ゆう
人前で涙を見せるな
父ちゃんも母ちゃんも早くに死んじまって、たった二人だけの家族なんだ
二人で生きてきたんだ、俺はゆうがいてくれたから頑張って来れたんだ
弟はお前にとっての生きる証か
あ、ゆうは母ちゃんに似てとても優しい子で
俺が漁に出ている間、漁師仲間の女将さんたちと一緒におにぎりを作って待っててくれるんだ
それに、父ちゃんに似て賢いんだぜ
漁網を繕うのだって、魚をさばくのだって、俺がちょっと教えただけですぐに覚えちゃうんだ
賢いか、晴夫、もし山で何かしらの災難に会ったとしたら、お前ならどうする
どうって分かんねよ
賢い子なら助けが来るまで飲水の確保くらい考えるだろう
水なら向こう、この森を抜けた先に谷川がある
よし、行ってみよ
辺りはもう完全に黒に染まり
月明かりが川を照らしている
ゆう、ゆう、あそこに洞穴が
岩の斜面に、人が充分に入れる大きさの横穴があった
忠告を忘れたか
勝手に入ろうとしてごめん、中を調べるのか
あ、先に俺が入る
洞穴に入って何歩進んだのだろ
その時
血生臭い匂いが俺の鼻をついた
どう、ゆうは居そうか
人の気配はないが
熊がいるのか
熊ではない
熊じゃない、じゃ一体中に何がいるんだよ
おそらく鬼だ
鬼だって?
鬼はいる、巧妙に身を隠し、そしてなんの躊躇いもなく人を食う、あの和尚たちのようにな
そんな鬼どもを狩るのが俺の役目だ
まさか鬼なんて
いいか、そこを動くなよ
洞穴を一歩、また一歩と進めていくことに、血生臭さも増していく
すると、奥の暗闇に不気味に光るものが二つ見えた
目だ
晴夫、すぐここから離れろ
離れるんだ
うん
鬼狩り、いいもん手土産に持って来てくれたじゃねえかよ
俺はよ、ガキが大好物なんだ、やっぱりよガキがうめえよな
肉は柔らかくてみずみずしいし、血は本当に甘いし、一度食べたらやめられねえぜ
貴様
人を食らって力が増したな
下がれ、晴夫!
ゆうだ!ゆうがいた!
なに!
間違いない、ゆうだよ、ゆうが今森の中に入っていたんだ
ゆう、兄ちゃんだ!
晴夫、行くな、俺のそばから離れるな
ゆう!
晴夫!
俺が鬼から目を離した、その一瞬の隙をつかれ
余所見てはまずいよな、鬼狩りさんよ
不覚にも足をやられたか
太腿から血が滴ってるぜ、痛えか
鬼狩り、おめえを始末したら、ゆっくり味わってやるぜ、あのガキをよ
骨の髄までしゃぶり尽くしてやる
= 全集中·水の呼吸 =
飛んでくる触手を切れ落としながら、やつとの距離を縮める
くたばりやがれ、鬼狩りめが!
来た
三の型、流々舞!
なんで、そんな様子で動けるんだよ
壱の型、水面斬り
晴夫、晴夫
晴夫、どこだ、どこにいる、晴夫、晴夫
何か言いようのない嫌な予感が俺を動かしていた
晴夫
ここだよ
茂みの向こう、岩場の上から晴夫の声がした
あんなところに
晴夫
やっぱり弟だったよ、弟がいたんだ、ゆうが見つかったんだ
ほら、ゆうだよ
晴夫がゆうと呼ぶ男の子に寄り添っている
だが月明かりに照らし出されたその子の顔は
晴夫、そいつから離れろ
何言ってんだよ、ずっと探してた俺の弟なんだ、ゆうなんだ
晴夫、そいつの顔をよく見ろ、それがお前の弟の顔か
怪しく光るその目、口から見える牙
そいつはもはやお前の弟ではない、鬼だ
バカ言うな、弟だ、俺が言うんだ間違いねえ
ゆう、兄ちゃんだ、分かるだろ
晴夫、そいつは鬼だ
鬼だろうと何だろうと構わねえ
俺は、俺は弟を助けるんだ
晴夫、諦めろ、弟はもう人間には戻らない
そこで待ってろ、俺が今行く
弟を切る気か、来るな
親であろうと兄弟であろうと容赦なく食らう、それが鬼だ
そばにいたら、お前も食われる
ゆうはそんなことしない、話したろう、ゆうはとても優しい子なんだ
晴夫、そこを退け
いやだ
晴夫!
俺にとってゆうはたった一人の弟なんだ、家族なんだ
なぁ、頼むよ、ゆうを見逃してくれよ、お願いだ
晴夫、それはできない
ゆうは違う、俺を食ったりしない、人を食ったりしない
兄ちゃん
ゆう、分かるか、俺だ、兄ちゃんだ
晴夫
兄ちゃん
そうだよゆう、ほら、ゆうだよ、鬼なんかじゃない
晴夫、離れろ
なぁ、兄ちゃんと一緒に家に帰ろう
また兄ちゃんにおにぎり握ってくれよ、ゆう
晴夫!
分かっているのか、お前が今食らったのは兄なんだぞ
壱の型、水面斬り
しっかりしろ、晴夫
ゆう、ゆうは?
安心しろ、俺が助けた
ありがとう
ゆう
晴夫
飢餓状態になっている鬼は親でも兄弟でも殺して食べる
栄養価が高いからだ
今までそういう場面も山程見てきた
この娘は怪我を負わされており
それを治すために力を消費している
鬼に変わる時もかなり体力を消費するはずだから
間違いなく今は重度の飢餓状態
一刻も早く人の血肉を喰らいたかっただろうに
守る動作、俺に対する威嚇
こいつらは何か違うのかもしれない
起きたか
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